石勝線 夕張支線廃止後のダイヤを予想

JR北海道は、2019年3月16日のダイヤ改正以降、石勝線の追分~新夕張間を走る定期普通列車の本数を、現行の1日10本から5本へと減便すると発表しました。3月31日の夕張支線廃止までの2週間強は、普通列車を増発して対応するとの発表も出ていますが、4月1日以降の運転時刻が大変気になります。

石勝線の追分~新得間のうち、新夕張~新得間には普通列車の設定がないため、青春18きっぷや北海道&東日本パスのみでの乗車が特例として認められていますが、追分~新夕張間については普通列車の運転があるため特例が設定されていません。

現行ダイヤでも、この区間の移動に使える乗り継ぎダイヤは下り3本、上り4本のみで、うち4本は新夕張駅での乗り換え待ち時間が1時間以上かかるため、利便性がいいとは言えない状況です。今回のダイヤ改正による普通列車減便状況次第では、追分~新得間を青春18きっぷや北海道&東日本パスで移動することが事実上不可能となる可能性すらあり、非常に注目が集まっています。

また、この追分~新夕張間には、2016年3月25日まで、東追分・川端・滝ノ上・十三里の4駅がありましたが、翌日のダイヤ改正で東追分・十三里の両駅が廃止となり、現在残っているのは川端・滝ノ上の2駅のみとなります。この区間の普通列車が上下5本に減便されるということは、必然的にこの2駅に停車する定期列車の本数も1日5本になるということになります。

減便列車はどれか

JR北海道は、12月14日のプレスリリースでこう発表しています。

  • 特急列車の停車拡大に合わせて、追分~新夕張間の普通列車10本のうち、ご利用の少ない5本の運転を取り止めます。
  • 千歳~新夕張の一部列車で時刻の見直しを行います。

このことから、一部の普通列車の機能を特急列車停車によって代替するものと思われます。

同プレスリリースでは、普通列車の減便以外にも、特急「スーパーおおぞら1・7・8号」を追分、新夕張へ停車拡大を行うとも発表されていますので、これらの列車に近い時間帯に運転されている普通列車は減便対象となることでしょう。

また、現行ダイヤでも追分・新夕張に停車する特急列車と近い時間帯に運転されている普通列車があります。これらの列車についても、普通列車が減便の対象となる可能性が多いにあります。

どの列車が残る可能性が高いのか

次は、減便列車ではなく、存続する列車を考えていきます。先述の通り、追分~新夕張間に普通列車を運転する意義は、川端・滝ノ上の両駅の利用者への拝領が大きな割合を占めます。となると、両駅の利用者が多い時間帯に運転される列車が残る可能性があります。

また、夕張支線を進める夕張市の計画では、夕張支線廃止後の交通形態として、滝ノ上地区へのデマンドバスが盛り込まれています。よって、デマンドバスとの役割分担を図るものと思います。デマンドバスは滝ノ上~新夕張間で運行されると予想されることから、追分・千歳方面への輸送は引き続きJRが担うことなりそうです。つまり、朝の時間帯の追分・千歳方面、夕方の時間帯の新夕張方面行の普通列車は一定数の存続が予想されます。

減便に合わせてJRが行いたいこと

JR北海道にとって、早急の問題は普通列車で使用する車両の不足です。特に道内で広く使用されているキハ40は、老朽化が激しく、車両不足が深刻化しています。そのためJR北海道としては、夕張支線廃止に合わせて石勝線で運用する車両の数を削減したいはずです。

現在石勝線では、普通列車を運行するのに3つの車両運用を組んでいます。朝のみの運用、朝から夕方までの運用、朝と夜の運用です。このうち、どれか1つの運用を削減することで、石勝線で運用する車両数を減らすことになるでしょう。減便対象の列車を予想する上で、この点については決して無視できません。プレスリリースにあった「一部列車で時刻の変更」はこのことが年頭にあると考えられます。

予想した石勝線のダイヤ

特急列車のダイヤについては既にJR北海道から同プレスリリースを通じて発表済みですので、それを利用しました。

普通列車の運転時刻については、車両運用の都合上変更を加えなければならないところのみの修正としましたが、新夕張で接続する夕張支線代替バスの時刻に合わせて多少の前後が発生するものと思われます。


斜線は時刻変更、赤字は新たに加わった停車駅、灰色は減便列車

各列車の減便理由

まず、JR北海道が過去に行った普通列車減便において、よく用いられる手法は「朝、夜の列車を残して日中の列車を徹底的に減らす」というものです。追分~新夕張間が1日5本の運行となると決まって時点で、日中の列車が廃止されることはほぼ確実です。

この時間帯の普通列車が減便されたとしても、前後には代替できそうな特急列車が設定されていますし、日中時間帯の主な顧客である通院の高齢者はデマンドバスでの輸送が可能ですし、新夕張での乗り換えの手間を考えるとこちらの方が効率的です。(新夕張駅はバリアフリー未対応)

ちなみに、夜の新夕張行については、千歳方面から帰宅する高校生がいますし、その折り返しとなる追分行についても、清水沢方面から帰宅する高校生がいますので、運転する意味はあります。

問題はあと1本ですが、本数から考えれば朝の新夕張→千歳で運行されている3本のうち、どれか1本が削減されることは間違いありません。そのうち、この3本のどれを削減するかはかなり難しいところで、私もかなり頭を悩ませましたが、最終的には9時台の列車としました。

現行ダイヤにおいて、6・7時台の2本の列車については、千歳方面への通学に使われていますが、9時台の列車は夕張支線内での輸送が主な役割で、新夕張→追分は回送的な要素が強いと予想します。

また、朝の新夕張行の列車で使用した車両を7時台の千歳行で運用することで、運用数を現行の3から2に削減することが可能です。なお、現行ダイヤのままではこの運用をこなすことができないため、朝の追分発新夕張行の運転時刻を18分繰り上げました。千歳行の列車の運転時刻を繰り下げる方法もありますが、これでは朝の通勤通学で間に合わない乗客が出る可能性がありますので避けました。

なお、スーパーおおぞら1号が追分・新夕張に新たに停車するのは、朝の普通列車の運転時刻が繰り上がることへの代替と想定しました。

石勝線の未来像とは

今回のダイヤ改正で、追分~新夕張の普通列車は5本に削減されました。しかし、これもそう長くは続かないと思われます。石勝線の普通列車は、特急列車の運行がない夕張支線のために運行されているという側面が強かったというのが現実です。夕張支線が廃止された後、普通列車の存在意義が薄れていくことは間違いありません。

となると、川端・滝ノ上の2駅のために普通列車を走らせるのは非効率ですし、特急列車で代替する方が運行ダイヤにも余裕が生まれ、車両更新の問題も解消できます。

2020年春のダイヤ改正で、千歳線の快速エアポートの増発が予定されており、これに伴う道内特急のダイヤ改正も予想されます。それに合わせて、石勝線のダイヤを見直し、普通列車が全廃される可能性も否定できません。今回の改正でも、新夕張~追分間の利用者へは特急料金を半ば強いる形となり、この運行形態が多くの人にいい効果がもたらされるとも思えず、いっそのこと普通列車を全廃して、特急列車に特急料金なしで乗れる特例を設定する方がいいという考え方もできるでしょう。

普通列車の動向については、川端・滝ノ上の存廃と共に今後とも注目が集まりそうです。

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