【徹底解説】石北線 臨時快速列車の運転期間がまもなく終了 運転はいつまで続くのか

現在石北本線では、毎週金曜、土曜、日曜の夜に、旭川発北見行の臨時快速列車が運転されています。この列車は、札幌、旭川から北見方面への帰宅需要に合わせて運行されており、定期列車の「特急オホーツク3号」よりも1時間遅い時間帯に運行されているため、札幌や旭川での滞在時間を延長できることを売りとしています。

この列車は2019年2月末で運転期間が終了となりますが、再び運転期間が延長されるのか注目どころです。

せっかくなので、ここで石北本線の臨時快速列車(8585D)についてまとめてみました。

石北本線 臨時快速列車(8585D)の概要

①運転日

毎週、金曜・土曜・日曜日に運転されます。祝日や祝前日に運転されることは一切なく、必ず金曜・土曜・日曜日に運転されています。

②停車駅

旭川・当麻・上川・丸瀬布・遠軽・留辺蘂・東相内・西北見・北見

特快きたみが停車する、白滝や安国、生田原、相内は通過します。代わりに、特急列車の止まらない、東相内、西北見、北見には停車します。東相内~北見間は各駅停車です。

③所要時間

旭川発は20時01分、北見到着は23時04分で、全区間の所要時間は3時間03分となります。

同区間を走る定期列車のうち、特別快速きたみ号は3時間21分、最速の特急大雪3号ですら2時間52分かかる道のりですので、かなりの俊足列車であることが分かります。

この列車は夜間を走行する列車ということもあり、旅客営業列車との列車行き違いは安足間駅での特急オホーツク4号のみで、他の列車に邪魔されることなく運転できるダイヤとなっています。

④車両・編成

キハ54一般形気動車が1両編成で運用されます。全て自由席で、当然特急料金は不要です。

通常は旭川運転所所属の車両が充当されますが、稀に釧路運輸車両所所属の車両で運転されます。

臨時列車のため他の列車とは分離した運用が組まれており、座席の種類は決まっていません。

⑤その他

この列車は、札幌18時30分発特急ライラック35号からの乗り継ぎが可能で、特急ライラック35号と臨時快速列車を乗り継ぐことで、札幌からの需要も拾えるようになっています。

なお、札幌、旭川から北見へ向かう最終の定期列車は、札幌17時30分発の特急オホーツク3号で、臨時快速を利用することで、札幌、旭川などの滞在時間を1時間延長することができます。

石北本線 臨時快速列車(8585D)の歴史

この列車が産声を上げたのは2017年3月17日のことでした。なんの前触れもなく、JR北海道のプレスリリースとしてこの列車の運転が告知されました。当時、単独維持困難路線の選定が行われていた時期ということもあり、新しい臨時列車が運転されるということ自体が驚きでした。特急列車に近しい高速度での運転を行う列車であること、しかも運転開始まで僅か2週間だということで、界隈でもかなり大騒ぎになったことを今でも覚えています。

プレスリリースはたった1ページの簡素なもので、特にJR北海道が力を入れている風もなかったのが印象的でした。プレスリリースには、「JR北海道では、金曜・土曜・日曜日に旭川~北見間臨時快速列車を運転します。遠軽・北見方面からの札幌滞在時間が1時間拡大し、ビジネス・観光に便利となります。」とだけ書かれており、運転開始の経緯などについては一切触れられていませんでした。

同年4月1日の土曜日から運行を開始しました。当初は9月30日土曜日までの6カ月限定運行ということでしたが、運転終了直前の同年9月22日、翌年2月末までの5カ月間延長が発表されました。

その後は、2月末と9月末に運転期間延長のプレスリリースが発表される形で運転期間は延長され、既に運転開始から丸2年が経とうとしています。(2019年2月15日時点)

なお、2018年3月17日のダイヤ改正までは、旭川駅の発車時刻が20時00分でしたが、同日以降は1分繰り下げて20時01分発となりました。元々、接続の特急ライラック35号からの乗り換え時間が僅か4分しかなく、かなりシビアな時間設定となっていたことを考慮した変更と思われます。なお、当麻駅の発車時刻も2分繰り下げられましたが、安足間駅での運転停車時間を削ったため、上川から先の時刻に変更はなく、全区間での所要時間は1分短縮されました。(運行開始当初の所要時間は3時間04分)

北見→旭川の列車が新たに設定された

臨時快速列車は片道での運行ため、使用した車両を旭川運転所に返す必要があります。運転開始当初は、翌日の特別快速きたみ号旭川行を所定の1両から2両に増結することで旭川駅まで運転していました。この方法であれば、運転士を新たに用意する必要がないことに加え、特快きたみの混雑度低下につながるため、利用者としてもうれしい方法です。

ところが、2018年3月17日のダイヤ改正の頃から特快きたみへの増結はされなくなりました。その代わり、北見発旭川行の回送列車が別に運転されるようになりました。運転時刻の詳細についてはわかっていませんが、特急オホーツク2号と大雪2号の間を単機で運転しているようです。

なぜ特快きたみへの増結で対応せずに、別途回送列車を設定しているのか。詳細については不明ですが、特快きたみが2両以上に増結できないことが関係していると思われます。

特快きたみは通常1両編成で運転されますが、繁忙期などには2両編成に増結されることがあります。これは臨時快速列車が運転開始する前から行われていることで、旭川発北見行の特快きたみでも行われます。そのため、従来の方法では臨時快速列車の運転日と北見行の特快きたみの増結日が重複してしまった場合、翌日の旭川行の特快きたみは3両編成で運転されることになります。ですが、特快きたみはワンマン列車として運転されるため、2両までしか連結できません。

通常このような場合、最後尾の車両は締め切り回送となり、乗客が乗車することはできなくなります。ところが、特快きたみは遠軽駅でスイッチバックを行う関係で、最後尾に回送車両を連結することがどうしてもできません。(遠軽から先、締め切りの回送車両が列車の先頭に来てしまうため)

従来であれば、増結日のみ臨時で旭川行の回送列車を運転していましたが、そうなると不定期で運転士を確保しなくてならなくなり、扱いが厄介な上、突発多岐な需要が発生しても特快きたみへの増結が行えなくなります。

そのような事情から、毎週土曜・日曜・月曜日には旭川行の返却回送列車を運転する方式へ変更されたものと思われます。

乗車率は微妙 運転経緯も未だ不明 いつまで運転するのか

ガラガラなキハ54の車内(別の区間で撮影)

運転開始当初から問題視されてきたのが、乗車率の低さです。

運転開始初日こそ、ものめずらから鉄道ファンが数名乗車しただけで、その後は乗車率の低迷が続きました。途中の上川までは普通列車の代わりに利用する通学の高校生などもいるため、10人弱の乗車がありますが、上川から先は多くて4、5人、終点の北見まで乗る人は1名いるかいないかの状態でした。

もともと、JR北海道でも大々的にPRしている訳ではなく、駅の改札横に張り紙が掲出されている程度で、利用者への認知度がどの程度あったのかも不明です。

ですが、2018年に入ると徐々に利用者も増え、上川までは20人弱、上川から先の区間についても10人程度は利用者がいる日も見られるようになりました。また、日によっては遠軽からの乗車も見られるようになり、地元の方にも認知されているという印象を受けます。

とはいえ、旭川~北見は距離も長く、2名の運転士を確保しなければならないため、運転経費はかなり嵩みます。それなりの乗車人数を確保できなければ赤字になることは間違いありません。

それでもなお、臨時快速列車の運転を続けているということはある程度の乗車率が確保できているか、はたまた沿線自治体からの要請・援助によって運転されているかのどちらかです。とはいえ、沿線自治体からの援助が2017年4月の運、行開始当初からあるとは考えにくく、JR北海道の独自判断で行われているものと思われます。

JR北海道としては、なんらかの「運転する意味」があるからこそ運転を継続しているものと思われますが、その「意味」がはっきりしないため、私としてもこれからいつまで運転が継続されるのかが想像もつきません。

なぜ北見行の快速列車を新設したのか

実は、北見行の夜の列車が増強されるのは自然な発想です。というのも、北海道内のJRが通っている主な都市に到着する最終列車の時刻を比較すればよく分かります。

稚内、名寄、旭川、富良野、岩見沢、網走、釧路、帯広、苫小牧、室蘭、小樽、函館など、道内でも人口が多い主要都市のどの駅を見ても、札幌方面からの下り最終列車の到着時刻は軒並み23時以降に設定されています。(根室も以前は0時過ぎ)

ところが、石北線沿線だけは異常早く、北見は22時過ぎ、終点の網走でも23時00分着が終電となっています。北見は北海道でもかなり大都市な部類に入り、かなり需要もある区間です。にもかかわらず、22時着で列車が終了してしまうということを問題視するのはいたって自然な考えです。そのような理由で臨時快速列車は設定されているというのが筆者なりの結論です。

臨時快速列車の今後は…

これまで2年間運転されてきた列車ですが、最近の利用状況を考えると、すぐに運転取りやめとはならないと思われます。ここまで2年間で定着しつつある需要を維持していくためにも、今後も運転を継続していく可能性が高いと思われます。

ですが、赤字続きのJR北海道がどこまで頑張れるかはわかりません。減便していくという流れの中で、あえて「増便」という一手を打ってきた訳ですから、この一本の臨時快速の運命によっては、今後のJR北海道の姿勢にも関わってくるのではないでしょうか。

3月以降も運転されるとなれば、あと2、3日で運転延長のプレスリリースが発表されるはずです。今後も利用できることを期待してプレスリリースを待つとともに、機会を見て積極的に利用していきたい列車でもあります。

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