廃止の危機!? 今乗るべきJR北海道の列車

近頃、JR北海道は安全性の向上を目指し、順次車両の更新を進めています。

そのため、いつ列車が廃止されたり、置き換えられたりするかわからない状況が常に続いています。「いつか乗ろう」と思っていたら、気づいたら廃止されていた…なんていう悲しいことが起こらないようにするためにも、常日頃から今ある列車に乗っておくことが大切です。

今回は、そんなJR北海道の列車の中でも、数年先までの存続が危ぶまれている列車を紹介していきます。

釧網本線 SL冬の湿原号

もともと、JR北海道では数多くのSL列車が運行されていましたが、その多くが2014年度をもって運転を終了しました。その主な原因として、SLへの新型ATSの搭載の難しさがあります。JR北海道が進める安全性向上のためにATSを新型のものに置き換えると、SLの運行はかなり困難となります。

そんな中、唯一運行継続されているのがSL冬の湿原号です。この列車の人気度は他のSL列車よりも高く、釧網本線には当面新型ATSを導入する予定がないことなどが理由として挙げられます。

しかし、この列車最大の危機が今期訪れることになりそうです。

SL冬の湿原号で現在使用されている蒸気機関車「C11 171」号機の全般検査の期限が、来年2019年に迫っているようなのです。この検査期限を迎えた場合、多額の費用を必要とする大掛かりな検査を行わなければなりません。ですが、現在のJR北海道にそれだけの余力があるとはとても言えません。

そのため、今年度の運行を最後に、SL冬の湿原号も姿を消してしまうのではないか。という見方が強まっています。もしもSL冬の湿原号が廃止となれば、冬の道東観光の目玉が失われる事態になってしまうだけに非常に心配です。

とにかく、乗車を先延ばしにしてきた方は、今年こそ必ず乗車することを強くオススメします。

函館本線 特急スーパー北斗 281系

函館~札幌を結ぶ、特急北斗、スーパー北斗は、2018年3月のダイヤ改正をもって、キハ183系が定期列車から撤退し、新型のキハ261系に置き換えることで、全列車がスーパー北斗に統一されました。

しかし、今なお新型のキハ261系の増備は続いています。となると、次なる置き換え対象として、キハ281系があげられる可能性は否定できません。

キハ281系は1994年に営業運転を開始しましたが、その際僅か27両しか製造されませんでした。現在、キハ281系は3運用持っているため、7両編成×3編成で運用を回していますが、混雑が激しくなる繁忙期に増結対応ができていません。

JR北海道の中でも北斗系統の特急は混雑が激しく、自由席が満席どころかデッキすら寿司詰め状態になることもしばしばあります。

となると、次のダイヤ改正以降、順次キハ281系の運用をキハ261系に置き換えることで、車両の増結を図っていくと考えられます。

置き換えられたキハ281系が、すぐに廃車となる可能性は低いですが、そう近くないうちにスーパー北斗の定期列車から姿を消すものと思われます。

留萌本線 深川~留萌

これは言うまでもありませんが、路線そのものが廃止の危機にあります。

既に廃止がほぼ決定している札沼線や石勝線の夕張支線などと違って、正式な廃止発表こそされていませんが、留萌本線もバス転換の検討に入っている路線です。そのため、あと数年のうちに廃止される説が非常に濃厚となっています。

まだ今のタイミングであれば廃止前のラッシュとはなっていないため、日常の留萌本線を楽しむ余裕があります。留萌本線の本来の姿を楽しむなら、今がラストチャンスかもしれません。

キハ183系 クリスタルエクスプレス トマム&サホロ

JR北海道が保有する、リゾート列車の1つです。

昨年、JR北海道が保有する4編成のジョイフルトレインのうち、ニセコエクスプレスと旭山動物園号が惜しまれつつも廃車されました。残る2編成のうち、ノースレインボーエクスプレスについては、様々な用途で日常的に使われていますので、今すぐに廃車とできないようですが、こちらのクリスタルエクスプレスについては運用に就くことがあまりありません。

夏場いなると、臨時特急フラノラベンダーエクスプレスの運用に就くことが多いですが、あとは極まれに団体臨時列車で使われるのみで、冬場にはブルーシートがかけられてしまうこともあるほど運転頻度の低い車両です。

走行機器類は昨年廃車となったニセコエクスプレスとほぼ同等のものを搭載しているため、そろそろ廃車になるタイミングが近そうです。

とはいえ、次いつ営業運転に就くのかすら分からないような車両ですので「乗りに行こう」と言って簡単に乗れるものではありませんが、もし来年のフラノラベンダーエクスプレスの運用に入ったら是非乗りに行きた車両です。

石北本線 上川発遠軽行 4621D

▲旭川運転所から4両編成の回送列車が上川に到着。そのうち2両が遠軽行になる。

普通列車が1日に1往復しか運転されていないことで知られている、石北本線の上川~白滝間を走る唯一の下り普通列車が、この4621Dです。

この4621Dは上川を午前6時11分に発車し、37.3㎞離れた隣の白滝までを52分かけて走ります。この区間は険しい峠越えの区間で、普通列車の需要がないうえ、早朝の運転ということもあって上川~白滝間の乗客は基本ゼロ人です。(白滝からは通学の高校生が多数利用します)

この列車は人を輸送することを主目的として運転されているのではなく、北見地区で使用される車両を旭川の車両基地から輸送することを主目的として運転しているので、簡単に言えばなくても特に誰も困らない列車です。

この列車はかなり昔から、現在と同じ早朝の時間帯に運転されてきましたが、近年ある問題が深刻化しています。それがこの列車の”空転による遅延”です。

先述の通り、上川~白滝間は険しい峠越えのため、急勾配とカーブの連続する区間です。この区間のレールに朝露や落ち葉が付くと、キハ40系では空転が多発してしまい、度々大幅な遅れが発生します。

この列車が遅れるだけならばまだいいのですが、この列車が通過した後にこの区間を走る特急列車に遅れが影響してしまい、ダイヤの乱れを1日中引きずってしまうこともあります。

そこで、この普通列車を早朝ではなく昼間に運転することで、この空転を回避しようという計画が持ち上がっているようで、そうなるとこの早朝の普通列車が廃止されることになります。

詳しい話は分かりませんが、早ければ来年春のダイヤ改正で時刻が大幅に変更となるようです。もっとも、あまりにも乗りにくい時間帯に運行されている列車だったので、時刻変更されたほうが利用しやすくなりそうですが、早朝の普通列車から眺める朝霧も、そろそろ見納めになるかもしれません。

ちなみに、この列車が廃止された場合、代替の普通列車を昼前に走らせる計画もあるようです。(実際、現在も不定期で昼間に回送列車が運行されている)

まとめ

いかがでしたか?今回紹介したもの以外にも、キハ40などの一般形気動車についても置き換えの検討が進んでいます。廃止されてから後悔することのないように、今のうちから乗っておくことがいいでしょう。

特にSL冬の湿原号については、今年が正念場になりそうです。まだ乗られていない方は今から旅の計画を立てられてはいかがですか?

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

投稿主をフォローする